2016年11月14日 春よ…来い! 1 「春はいつ来るの?」 「まだ冬にもなっていないのに 気の早いことだね」「だって…」「大丈夫、きっと春は来るから。 冬を越えたすべての人のところにね」「わたしのところにも?」「うん、君のところにも。 冬を越えれば…必ず」「じゃあ、がんばってみる…ね!」 紙ふうせん「冬が来る前に」冬が来る前にもう一度あの人とめぐり会いたい風邪などひかぬよう暖かくしてお休みください。 (アラン)
2016年11月21日 春よ…来い! 2 君と初めて逢(あ)ったのは晴れた土曜の午後だったね明るい日差しの下陽気な さざめきの中にいた皆(みな)と一緒に私も 君も ♥そして初めて言葉を交わしたその時君は少し お澄(す)まし顔温(あたた)かな風に髪を靡(なび)かせすぐに身を翻(ひるがえ)して君は何処(いずこ)かへと天女(てんにょ)が失くした羽衣(はごろも)を探すが如(ごと)くまだ仕事が残っていたから? ♥しばらくしてのぞいてみた事務所の中日が傾き薄暗くなった室内には影ひとつその華奢(きゃしゃ)な現身(うつしみ)を紺の制服に包み窓辺の椅子に腰掛けて夕暮れの空をひとり見つめていたのは君だった身動(みじろ)ぎもせずただじっと見つめていた窓の外を暮れなずむ空を ♥私はそっと君の傍(かたわ)らに立つ「何か見えるのかい?」振り返った君は虚(うつ)ろな表情で私を見る私も また黙って見つめ返す君の瞳を不思議な静けさの中見つめ続けるまるで月からのお迎えに君が連れ去られないようにするが如くあるいは西の彼方に夕陽と ともに消え入りそうな君をつなぎとめる為に・・・ふきのとう「柿の実色した水曜日」覚えてるかな逢った日の空と山の色柿の実色した水曜日初めて君を見た初めて恋をした
2016年12月07日 春よ…来い! 3 Hans Christian Andersen & Josef Paleček / Thumbelina数日後私が事務所に入ろうとするとちょうどその時中から出てきた君は私の前に立ちはだかりじっと見つめてきたのだった私の顔を私の目を食い入るようにしげしげと丸い大きな瞳で ♥「俺の顔に 何かついてる?」「ううん、何にも」交わした言葉はただそれだけその振る舞いにはどんな意味がある?私を値踏み?それとも興味津々?結局私はその日 一日仕事が全く手につかず… ♥でも今 思えば君の様子は幼い子供のようでもあった無邪気(むじゃき)で怖(おそ)れを知らぬ振る舞い少女のまだ恋を知らない少女の ZARD 「IN MY ARMS TONIGHT」熱く見つめて夢を見させて時間を止めていつも強がっていたのあなた困らせたくて
2016年12月14日 春よ…来い! 4 Olof Landström, Lena Landström / Bu und Bä gehen auf ein Fest君は言う「違う課なのによくうちの課に来ますね。ヒマなんですか?」ギクッ!「い、いや忙しいんだけどさ…こっちの課の仕事の進捗状況はどうかなと思ってね…うちの課の方もたいへんなんだけどもさそこはうまくやりくりしてヒマをつくって来てるわけなんだよ」「どうして?」「え、えっ…」君は私の狼狽(ろうばい)お構いなしに話を続ける真面目(まじめ)な顔して「ヒマってどうやって作るんですか?」「どうやって って…」返す言葉が見つからない沈黙ごまかすためにポケットの中にあったメンタル バランス チョコの赤い小箱を取り出しひと粒口に放り込むその間ずっと君の視線はチョコの箱に注がれてる「欲しそうな目してるね。ひとつ あげようか?」君は黙ってうなずきながら手のひらを差し出すそこにのせてあげる一粒のチョコ手の上にのったチョコから徐々に視線を上げる君私の視線と交わる君の視線そして君の笑顔がゆっくりゆっくり花開いていったまるで映画のスローモーションのように 欅坂46 「二人セゾン」花のない桜を見上げて満開の日を想ったことはあったか?君はセゾン僕の前に現れて君はセゾン日常を輝かせる二人セゾン春夏で恋をして二人セゾン秋冬で去っていく春夏秋冬生まれ変われると別れ際君に教えられた ________________________________お仕事に忙殺されるあなたを私の紡ぐ物語が一時でも癒(いや)せたなら一粒のチョコのように (アラン) ↑ 事務的な作業による一時的・心理的なストレスを低減するメンタル バランス チョコレート「チョコレートの宣伝するより自分の店の絵本の宣伝しろよ!」
2017年01月09日 春よ…来い! 5 Lilo Fromm / Hinterm Berge Abezee 「家に帰っても、気分はよくならない…」終業時間 まぎわに突然、皆の前で独(ひと)り言(ごと)を呟(つぶや)いた君 ♠皆は聞こえなかったふりをしていたが奇異な目でちらっと君の様子を窺(うかが)っていた ♠そんな君を放(ほう)っておけなかったがその日、私はまだ仕事が残っていて残業だった… ♠君とすれ違いざま私は言った「ちゃんと寄り道せずに帰れよ!」と ♠どうして私はこんなに感情的になっているのだろうか? ♠だが、そう言われた君は驚いた様子もなく何を思ったかはその表情からはまったく分からなかった… 谷山浩子「ねこの森には帰れない」ねこの森には帰れないここでいいひと見つけたからここはとてもいいところです仕事をしています恋もしましたねこの森には帰れない帰る道だって覚えてないねこの森には帰れない失くした歌は歌えない