Quatre Saisons ~絵本と ことばと 恋バナと~

昔々、ある所に"アラン"という名の怠け者の子供がいました。 その子は、大人になると洋書の絵本屋になりましたが、宣伝も商売もうまくありません。 ある日、こわ~い鬼から言われました。「アラン、せめてブログぐらい書いて、自分の店を売り込め!でないと、おまえを食っちゃうぞ!」と。 アランは「え~、めんどくさ~い」と思ったのですが、食べられちゃっては大変です。 そんなわけで、ブログで自分とお店のことを紹介しなければならなくなったアランは…

2016年11月



君と
初めて逢(あ)ったのは

晴れた
土曜の午後だったね

明るい日差しの下
陽気な さざめきの中にいた

皆(みな)と一緒に
私も 君も

   ♥

そして
初めて言葉を交わした

その時
君は
少し お澄(す)まし顔

温(あたた)かな風に
髪を靡(なび)かせ

すぐに

身を翻(ひるがえ)して
君は
何処(いずこ)かへと

天女(てんにょ)が
失くした羽衣(はごろも)を
探すが如(ごと)く



まだ仕事が
残っていたから?

   ♥

しばらくして
のぞいてみた
事務所の中

日が傾き
薄暗くなった
室内には
影ひとつ

その華奢(きゃしゃ)な
現身(うつしみ)を
紺の制服に包み

窓辺の椅子に
腰掛けて

夕暮れの空を
ひとり
見つめていたのは
君だった

身動(みじろ)ぎもせず
ただ
じっと
見つめていた

窓の外を

暮れなずむ空を

   ♥

私は
そっと
君の傍(かたわ)らに立つ

「何か見えるのかい?」

振り返った君は
虚(うつ)ろな表情で
私を
見る

私も また
黙って
見つめ返す

君の瞳を


不思議な静けさの中
見つめ続ける

まるで

月からのお迎えに
君が
連れ去られないようにする
が如く

あるいは
西の彼方に
夕陽と ともに
消え入りそうな
君をつなぎとめる為に・・・







ふきのとう「柿の実色した水曜日」



覚えてるかな
逢った日の
空と山の色
柿の実色した水曜日
初めて君を見た
初めて恋をした




 



「春はいつ来るの?」
 
「まだ冬にもなっていないのに 気の早いことだね」

「だって…」

「大丈夫、きっと春は来るから。 冬を越えたすべての人のところにね」

「わたしのところにも?」

「うん、君のところにも。 冬を越えれば…必ず」

「じゃあ、がんばってみる…ね!」




紙ふうせん「冬が来る前に」

冬が来る前に
もう一度
あの人と
めぐり会いたい



風邪などひかぬよう
暖かくしてお休みください。
     (アラン)



 











 

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